刑事コロンボ「野望の果て」感想。ベスト20でランク外だが傑作。

よくできたストーリーとわかりやすい展開。個人的にも好きな作品だし、傑作と言ってよいと思う。これだけ力を入れてつくっているのだから、もっと人気があってもよいと思うのだが。最後があまりミステリー的でないところが不人気の原因かもしれない。

犯人は上院議員候補。補欠選挙の最中に、愛人の秘書と別れろと迫る選挙参謀を殺害する。コロンボはシンプルに矛盾点を見つけて犯人にプレッシャーを与え続ける。
クライマックスは犯人が自ら転んだようになっているが、それでもかなり鮮やかだ。

このエピソードの見所は、犯人役ジャッキー・クーパー表情の演技。大げさではないが、微妙な変化をシーンにより的確に使い分けている。殺人者の顔は不気味だし、候補者としては愛想がよい。時折、警察にみせる横柄な態度、愛人に見せる優しさなど、百面相のような豊かな表情だ。とくに逮捕のときの固まったような顔は印象的。

それからこの作品のBGMは、シーンに合っていて臨場感を感じられてよいと思う。他の作品でも使われてはいるが、とくに最後の逮捕のときは、盛り上がる緊迫感にぴったりだ。