刑事コロンボ「悪の温室」の感想。傑作になったかもしれない惜しいエピソード。

あまり人気はないが、なかなか面白い作品。コロンボの推理がいつになく冴え渡る。

犯人はランの愛好家。信託財産を持つ甥をだまし、甥が誘拐され身代金を要求されたという狂言を仕組ませる。そして現金を手に入れた後に甥を殺害して自分のものにしてしまう。コロンボは、現場の些細な点、被害者の夫婦関係から捜査をつめていく。

このエピソードではコロンボの観察力が冴え渡る。犯人が妻の性格を知っている理由、弾道の不自然さ、車のタイヤの跡、身代金の受け渡し場所など、わずかな齟齬から決め手に迫る。いつにもまして鋭い。ここがこのエピソードの見どころ。

偽装誘拐で始まり、夫婦の愛人関係で解決の糸口をつけ、過去の発砲事件に関連させてクライマックスに持ち込む構成はなかなかよい。妻と愛人たちが謎解きの本筋に絡んでくるので、ストーリーにも幅ができている。だが、つめが少し甘いと思う。古い弾丸を見つけさえすれば、妻に罪を着せるシーンは不要。そのシーンも、犯人に工作を促す愛人の行動が、コロンボが仕掛けた罠であれば、もっとあざやかだったと思う。

面白いのは間違いないが、作り込めば傑作にもなったかもしれないと思わせる惜しいエピソードだ。

コロンボの部下のウィルソン刑事が初出演。「魔術師の幻想」では、警察学校で習ったタイプライタが解決の決め手となったが、今回は金属探知器でコロンボを助ける。

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