刑事コロンボ「闘牛士の栄光」感想。動機は何か。異質の作品。

旅行でメキシコを訪れたコロンボが地元警察を助け、闘牛で死亡した事件を捜査する。「歌声の消えた海」の後日談になる。ストーリーとしても、ちょっと異質な作品。

犯人は往年の名闘牛士。長年の相棒を闘牛場におびきだし、麻酔銃を撃ち込んでフラフラにしてから、牛に襲わせる。単なる事故と見せかけたが、コロンボは矛盾点を追求する。すぐに犯人の目星はつくが、動機がわからない。

このエピソードでは、動機がポイントになる。動機を問題にしたものには「偶像のレクイエム」があるが、それとも異なる。

最後は、決定的な証拠を突きつけたわけではないのに、犯人は犯行を認めてしまう。名誉を重んじるという犯人の考え方があればこその自供だが、見ている側からすると、どうもしっくりこない。名誉に生きる犯人の人物像が、全編にわたってこれでもかと描かれているが。

最後に一気に種明かしというストーリーでは、視聴者がついていけないと思う。名誉というキーワードを早い段階で出して、徐々に詰めていくというスタイルであった方がよかったと思う。英語の原題(a matter of honor)で種明かしをしているのは、そのあたりを考えてのことかもしれない。