刑事コロンボ「秒読みの殺人」感想。ベスト20で13位

以前にもおすすめとして紹介した「秒読みの殺人」が13位に入った。

犯人は、テレビ業界のキャリアウーマン。愛人関係にあった上司が栄転になり、その後任に指名されないことを知ると、上司を計画的に撃ち殺してしまう。

コロンボのトリックに落ちる最後は、「権力の墓穴」に似ていなくもないが、ミステリー的にはまあまあのエピソード。

トリッシュ・ヴァン・ディヴァー演じる犯人の人物描写がこの作品の見所。

犯人はバリバリの上昇志向の強い女性。だが、決して野心だけのタイプではない。精神不安定のタレントを慰めるシーンでは思いやりを見せ、決して爆発はしない。
幼年時代を過ごした家でコロンボと向き合うシーンでは、寂しい内面を見せたりもする。

エレベーターの中で、荷物に乗り拳銃を取ろうとするシーンは示唆的。必死にキャリアアップ目指す犯人の葛藤をあらわすようだ。

一方、ミステリーの犯人としてはやや疑問な行動が多い。そもそも上司を殺害しても、自分が後任になれるかどうかは確かではないだろう。
凶器の銃をエレベーターの中に置いたままにしているのも不可解。

仕事の有能さと犯罪の粗さが対比されて、コロンボに追い込まれる様子は切ない。

全編にわたり、犯人役のトリッシュ・ヴァン・ディヴァーの表情に漂う緊迫感は見る価値あり。人間ドラマとしては、「忘れられたスター」よりもこの作品をすすめたい。