NHK土曜ドラマ「松本清張シリーズ 事故」の感想。

1975年放送の土曜ドラマ松本清張シリーズ。原作は松本清張の「事故」。

深夜、民家にトラックが突っ込むという事故が発生した。ただの不注意運転のように扱われたが、事故当時、その家の主婦が浮気相手と過ごしている最中であった。そして夫は妻の浮気を疑っており、興信所に調査を依頼していた。

とにかくお金がかかっていない。大部分が室内か外のロケシーン。手の込んだセットらしいセットはほぼない。それでもぐいぐい引き込まれてしまう。

まず、原作が断然いい。人物関係が重層的に絡みあっていて、ストーリーが進むにつれて徐々に煮詰まってきて、さてこれからどうなるかなと思わせてくれる。そして最後は意表を突くようなあっけない幕切れ。テンポが非常によい。

それから昭和の俳優たちの名演が光る。田村高廣、山本陽子、佐野浅夫、渡辺文雄。そして千昌夫もちょい役で出ている。とくに佐野浅夫の渋い演技が目立つ。

脚本と演技だけでも面白いドラマがつくれるという見本のような作品。やはり松本清張は面白い。

NHKBSP
土曜ドラマ 「松本清張シリーズ 事故」
2022年7月18日 16:50-18:00
(初回放送日: 1975年11月8日)