刑事コロンボ「死者のメッセージ」感想。ベスト20で16位

犯人は著名なミステリー作家。自分の姪がその夫によって殺されたと信じ込み、夫を金庫に閉じ込めて殺害する。コロンボには珍しい復讐が殺人の動機。

クライマックスの決め手はよいと思うが、それ以外がはてなマーク連続のエピソード。

計画殺人なのに犯人の計画が杜撰。金庫の警報スイッチがオンのまま。犯人をゆする秘書がキーを返してしまうのも不可解。そのキーを処分せずに自分で発見したとコロンボに自白するのも不思議。

弁護士に見破られてしまっているシーンも入れる必要があるのか。

コロンボが積極的に挑発するが、犯人は全く意に介しない様子でスルー。頭脳対決とはならない。あまりにも凡庸な犯人、不出来なトリック。まるで意図したかのようだ。

人間ドラマとしても、姪の復讐のための殺人なら、そのあたりの心情の描き方が不十分。姪の夫の人物描写がないので、同情がわかない。

犯人のモデルがアガサ・クリスティだともいわれている。クリスティにけんかを売っているような設定。

最後に見逃してくれと懇願する犯人に、コロンボは「お互いにプロだから」と言って取り合わない。この時期にアガサ・クリスティは「カーテン」を出しているので、それに向けてのメッセージではと邪推してしまう。

コロンボは、「殺しは悪いに決まってます。」と即興スピーチで言っているし。