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芳地隆之著「ハルビン学院と満洲国」の感想。

ハルビン学院とは、1920年に設立され、その後25年間ロシア語の専門家を育成した旧制の専門学校。ハルビンは当時からヨーロッパの雰囲気を漂わせる街で、ロシア人も多数居住していた中国東北部の国際都市。ロシア語を学ぶにはうってつけの場所だった。専...

菅野朋子著「韓国消滅の危機」の感想。

日本以上に少子化が進む韓国の現状のルポルタージュ。韓国でも人口減少が社会のいろんなところでひずみをもたらしている。それが日本よりも極端なかたちで起きている。学校が閉鎖になったり、徴兵制があっても軍隊力を保てない。人口がソウルに集中して、釜山...

ジョルジュ・シムノン著「男の首 黄色い犬」の感想。

「男の首」と「黄色い犬」の二編収録。どちらも秀作だと思う。「男の首」は、メグレが冤罪の疑いのある死刑囚を脱獄させ真相を探ろうとする。大博打になるが、思うように犯人に手がかりがつかめず、上層部からの矢の催促を受ける。だが、地道に捜査を進めると...
外国語

松井智子著「バイリンガルの壁」の感想。

外国語学習の困難さを見越して、子供をバイリンガルにするためにアメリカンスクールに通わせるといったニュースをたまに聞く。しかし、バイリンガルになるというのはそれほど簡単なことではないことがわかるのがこの本だ。むしろ、バイリンガル教育の怖さとい...

佐藤優著「定年後の日本人は世界一の楽園を生きる」の感想。

佐藤優氏による定年後のシニア層に向けた指南本。緊迫した国際情勢やビジネスマン向けの生き残り術などシビアな題材での著作が多い著者。今回は割とユルめで、定年後の生活についての提言だ。基本的には人生を楽しむフェーズに移ったというスタイル。本を読ん...

阿川弘之著「志賀直哉」の感想。

志賀直哉の末弟子である阿川弘之による評伝。1994年刊行。志賀直哉本人は、後になっていろいろと掘り返されてはかなわないなと言っていたそうだが、まさにその通りの評伝になっている。本人についてはもちろんだが、周辺の人たちについても徹底的に調べつ...
囲碁将棋

青野照市著「職業としての将棋棋士」の感想。

最近引退した青野照市九段による将棋と将棋界についてのエピソード集。著者はタイトルには縁がなかったが、A級在籍11期、50代でA級在籍の戦績は、間違いなく一流棋士。だが、筆致は穏やかで謙虚だ。天才たちが集まる将棋界の内部を冷静な目で書き綴って...

志良堂正史著「他人の手帳は「密」の味」の感想。

他人の手帳を収集するというレアなことをしている著者。本書には集めた手帳の写真がふんだんに収録されている。もちろん持ち主の許可を得て買い取っているし、プライバシーには最大限に配慮を払っていて、個人が特定できるようなことは書かれていない。それで...

近藤大介著「ほんとうの中国」の感想。

中国に関する本は多数出版されている。その多くは、中国という国家であったり社会そのものを対象としているが、この本はそういったそれを構成する中国人にフォーカスを当てている。中国人は自分たちとは違うという印象は、多くの日本人が持っているだろう。日...

カトリーヌ・アルレー著「二千万ドルと鰯一匹」の感想。

カトリーヌ・アルレーといえば悪女。この作品でも二人の悪女を描く筆が冴えまくっている。富豪の未亡人のイリーナは、事故で重傷を負った義理の息子を亡き者にして財産を独り占めしようとする。そこで過去にも患者を死なせる裏稼業の経験のある看護師ヘルダを...
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