刑事コロンボ「ビデオテープの証言」感想。スパイ大作戦のようなトリック。

ハイテク機器を用いた殺人事件を、ハイテク機器を使ってコロンボが解決するというエピソード。なかなかすっきりしていてよい作品だと思う。

犯人は電子工業の社長。会長の義理の母から業績悪化の責任をとって辞任するように迫られる。そこでハイテク機器を使って殺害する。コロンボはあちこちに矛盾点を見つけ、最後はビデオテープで決定的な証拠を示す。

犯人役のオスカー・ウェルナーは、ちょっと浮き世離れしたオタク的な雰囲気を漂わせている人物像を好演している。

殺人のトリックは、スパイ大作戦を思わせるような古典的なものだが、こういった仕掛けは好きだ。当時としては、すばらしい設備を使っていても、今見るとむしろ骨董的な価値のところに目が行ってしまう。
今のハイテク技術でこういうトリックをつくろうとすると、なんでもできてしまい、面白味に欠ける作品になってしまうだろう。70年代だからできたエピソード。

この作品は、小説版では「燃えつきた影像」というタイトルで出版されていた。