ナミビアの砂漠はいつ出てくるのかと思いながら観ていたが、最後になってようやく画面に現れた。水飲み場のわずかな水を飲む動物。これが主人公のカナということかな。
21歳のカナはエステに勤め、恋人と同棲している。弱気の彼に嫌気がさして、今の彼氏に乗り換えた。素の彼女は今の若者らしくたよりないところもあるが、仕事ではきちんとした対応ができる。毎日は仕事場と部屋を往復するだけ。彼との仲も次第にぎくしゃくするようになる。
カナのような生活を送っている人はたくさんいると思う。引きこもりではないし、暴力を受けているわけではないし、犯罪にはまったく縁がない。内に満たされない気持ちを抱えて、自分でもどうしようもない。友人の死を知っても、どこか冷ややかに見ているだけで、他人に対して親身な感情がわいてこない。
エステでカナが敬語を使う場面がある。もちろん彼女は仕事では敬語を使うことが期待されている。これは今の世の中を象徴しているようだ。あらゆるシステムをスキマなく組み合わせて、わずかの空きもない。そのシステムの中で、自分がすべき役割を果たすのが、今の世の中で生きていくこと。カナもそれに従っているだけだ。息苦しい。カナは徐々に変調をきたすようになる。彼女はわずかな水を飲むために、砂漠のど真ん中にいるような感じなのだろう。
カナの鬱屈した気持ちを河合優実がうまく表現している。こういう訳にはぴったりの女優だと思う。だが、作品としては、日常をそのままつないだ構成なのでかなり単調。メッセージは伝わるが、途中で飽きてしまった。砂漠探しに思考を巡らせ、最後まで観た感じだ。

