刑事コロンボ「さらば提督」の感想。倒叙式でない普通のミステリー。

シリーズで唯一の倒叙式の作品。犯人が最後までわからない。いつものコロンボのよさが出ないせいか、あまり人気のないエピソード。

提督と呼ばれる造船会社のオーナーが殺害される。そりの合わない娘婿の社長が疑われるが、中盤で第2の被害者になってしまう。最後は、ポアロのように一同を集めてコロンボが真犯人を言い当てる。

犯人を観察力としつこさで追い込んでいくコロンボスタイルが見られない。正直、コロンボファンとしては、ちょっと肩すかしをくらった気分。ストーリー的には、犯人捜しの普通のミステリー。手順も踏んでいるし、犯人と思われた娘婿ロバート・ヴォーンが殺されてしまうという急展開があったりもするので、それほど悪くはないと思う。最後の決め手が弱いのが気になるが。

ロバート・ヴォーンは「歌声の消えた海」につづいて、2度目の犯人役。他にも、他のエピソードで見たような顔がいくつも発見できる。