コロンボシリーズ最高傑作と言われる作品。ランキングは不動の1位。
犯人は、ワインこそが我が人生というワイナリーの経営者。ワイナリーを売ろうとするそりの合わない弟を発作的に殺してしまう。スキューバダイビング中の事故に見せかけようとするが、コロンボは天気、車、食事をしていないことなどから疑いを持つ。最後は犯人のワインへの情熱がコロンボに決め手を与えてしまう。
ミステリー的にもなかなか面白く、逮捕のきっかけを犯人の情熱とからませたところがうまい。
この作品の魅力は、ドナルド・プレザンス演じる犯人のワインにかける情熱が非常によく表現されている点だ。犯人は私利私欲に走るような悪役ではなく、むしろ純粋な人物。だが、ワインに入れ込むあまり、他の人を近づけないような孤高な雰囲気を醸し出している。
更に、ワイナリーのシーンが多いためヨーロッパの田舎のような映像が多く、全体的に落ち着いてきりっとしまった感じを受ける。
原題の”Any Old Port in a Storm”を調べてみた。 “any port in a storm” という慣用句がある。意味は窮余の策。嵐の中を漂う船は、どんな港でもよいから入港したい。
英語のタイトルでは、港のportをポート・ワインにひっかけていると思われる。ポート・ワインはアルコール度数が高く保存が効く。コロンボは貯蔵庫に自ら閉じ込められる実験をしたとき、その後の会食を考えていて、それなりのワインをくすねようとしていた。暑さに強いポート・ワインが酸化しているなら、全部のワインがだめになっていて証拠となる。そのためレストランでの食事に見合ったビンテージのポート・ワインを短時間に探す必要があった。コロンボとしては、何でもよいから年代物のポートを見つけなければという心境であったということかな。
余談になるが、犯人に結婚をせまった秘書役のジュリー・ハリスは、イギリスの短編ドラマ「予期せぬ出来事」にも出演している。原作はロアルド・ダールで、かなり前に東京12チャンネルでも放映していたちょっと不気味なウイットがきいたドラマ。
こちらのシリーズで傑作に入る「ビクスビー夫人と大佐のコート」(Mrs. Bixby and the Colonel’s Coat)にジュリー・ハリスが主演している。このエピソードはYoutubeでも見ることができる。
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2 死者の身代金
3 構想の死角
4 指輪の爪あと
5 ホリスター将軍のコレクション
6 二枚のドガの絵
7 もうひとつの鍵
8 死の方程式
9 パイルD-3の壁
10 黒のエチュード
11 悪の温室
12 アリバイのダイヤル
13 ロンドンの傘
14 偶像のレクイエム
15 溶ける糸
16 断たれた音
17 二つの顔
18 毒のある花
19 別れのワイン
20 野望の果て
21 意識の下の映像
22 第三の終章
23 愛情の計算
24 白鳥の歌
25 権力の墓穴
26 自縛の紐
27 逆転の構図
28 祝砲の挽歌
29 歌声の消えた海
30 ビデオテープの証言
31 5時30分の目撃者
32 忘れられたスター
33 ハッサン・サラーの反逆
34 仮面の男
35 闘牛士の栄光
36 魔術師の幻想
37 さらば提督
38 ルーサン警部の犯罪
39 黄金のバックル
40 殺しの序曲
41 死者のメッセージ
42 美食の報酬
43 秒読みの殺人
44 攻撃命令
45 策謀の結末