刑事コロンボ「二つの顔」の感想。半分だけ倒叙スタイルの謎解きもの。

刑事コロンボは最初に犯人がわかってしまう倒叙スタイルをとっているが、このエピソードは例外。半分だけ謎を残す珍しい構成をとっている。そのため推理小説のように謎解きも楽しめる。

孫ほども年の離れた女性との結婚をひかえた富豪が、入浴中に突然入ってきた甥によって感電死させられる。甥は双子のひとりで、財産を狙って事故を装って富豪を殺害した。コロンボは殺人とみて捜査を始める。更に結婚相手が、マンションから墜落して命を落とす。

「さらば提督」は、犯人が最後までわからないことで話題になったが、この「二つの顔」は最後まで細かい犯行の手口が明らかにならない。最初に犯行の様子は映されてはいるが、双子なのでどちらなのかわからない。言ってみれば、半分だけ倒叙スタイルといった珍しい構成になっている。ただ、双子のトリックとしては平均的なものだし、第二の殺人について触れられないまま終わってしまうのも消化不良で、少しツメが甘く残念。

邸宅の家政婦とコロンボのやりとりはコミカルで和ませてくれる。こういう小ネタはシリーズではときどき出てくるね。スパイ大作戦の変装名人、マーティン・ランドが一人二役で双子を演じる。