NHK松本清張ドラマ「黒い画集〜証言〜」の感想。大胆なアレンジで異色のドラマになった。

松本清張の短編集「黒い画集」に収録されている「証言」が原作。主人公は医師、不倫関係の相手が若い男に設定変更されている。

主人公の患者が殺人事件の容疑で逮捕された。そして深夜に主人公と挨拶をかわしたとアリバイを主張する。確認にやって来た刑事に、主人公は会っていないと嘘をついてしまう。愛人関係にあった若い男との密会の帰りだったからだ。主人公は嘘をついた罪悪感に悩まされ、愛人との関係にもひびが入る。

最近のNHKのミステリードラマは、冒険的なことやっている。だが、さすがに同性愛設定で、ここまで綿密に描いたのには驚く。

そのせいでストーリー自体も、愛人との愛情描写がメインになってしまっている。更に主人公が医師という設定もあって、清張ドラマ定番の小市民的な生活を失う恐怖という色合いは薄まっている。

最後の家族関係の破綻は、クライマックスとしてなかなかよいと思う。

設定が強烈すぎて、ミステリーとは趣きの違った異色のドラマになってしまっている。

NHK BSプレミアム
松本清張ドラマ「黒い画集〜証言〜」
2020年5月9日 21:00-22:30