アイザック・アシモフ著「黒後家蜘蛛の会1」の感想。

アイザック・アシモフによる安楽椅子探偵式の短編ミステリー集。上流階級の紳士たちが集う黒後家蜘蛛の会。毎月の晩餐会で、ゲストから出された謎を皆で議論を戦わせ、最後は給仕のヘンリーが見事に解き明かす。

だいぶ前のことになるが、NHKラジオでこの作品のドラマが放送されていたことがある。紳士たちのウィットのきいた会話と雰囲気が好きで、原作も読んでみたいと思っていた。なかなか機会がなかったが、ようやく最近古本で手に入れて読んでみた。

ラジオドラマそのままの雰囲気だ。正しくは、ラジオドラマが原作の雰囲気を忠実に再現していると言うべきなのだが。大事件が起きるわけではないし、精緻に組み立てられた謎解きではない。推理に穴はあるし、強引な謎解きになっていることもよくある。それでも、こういうスタイル自体を楽しむのには、何の問題もない。

気に入ったエピソードは「明白な要素」。その他も小粒だが楽しいものばかりだ。

なお、このラジオドラマはYoutubeにアップされていて、今でも聴くことができる。