高木彬光著「神秘の扉」の感想。

著者にしてはちょっと異色の作品。

神奈川県の海沿いに建つ瀟洒な洋館で富豪の一族が次々に失踪する。古文書の整理のために雇われた秘書軍司は、館内での様々な人間模様を目撃しており、疑惑を抱くようになる。そんな折、失踪した主人の兄がブラジルから戻り、彼のもとで働くことになる。

お金持ちの家での連続事件。いつものような犯人探しだと思って、クセのありそうな登場人物たちのプロフィールを覚えながら読み進めていった。ところが、探偵役と思っていた秘書軍司がそれらしい行動を起こさず、何か変だなと思いはじめる。そして途中から犯人がわかり、その手口まで示されるような展開になる。謎解きの要素も少しは残しているが、ただの犯人探しから外れてしまい大いに戸惑ってしまった。いわゆる復讐劇とわかったのは後半になってからだ。

徐々に雰囲気が明智小五郎対怪人二十面相といった感じになってくる。秘密の地下部屋の存在とその怪奇色ただような様子。一気に活劇風の流れになってくる。終盤にいたっては、スピード感ある捕物帖で収束する。

江戸川乱歩ばりの話を書こうとしたのかな。著者にしては珍しい作品だと思う。