2025年公開の大ヒット作。吉田修一原作、吉沢亮主演、李相日監督。Amazonプライムで視聴。
この映画の成功は、知っているようで知らない歌舞伎界を裏から描いたこと、二人の主人公の対立と友情の物語を軸にしたことが大きな要因だ。とくに、俳優が歌舞伎俳優を演じることは挑戦だし、制作側の意気込みを感じる。歌舞伎を映像美で表現しようとする試みは、かなり成功していると思う。
映像の素晴らしさに比べて、ストーリーの完成度はイマイチ。それぞれの場面は見事につくられているが、それをつなぎ合わせたような構成で終わっていて、短い動画をつなげた紙芝居のようになってしまっている。主人公二人が、いきなり歌舞伎を離れてどん底まで転げ落ち、いつのまにか復帰して舞台に立つというベタな展開もどうかと思う。途中の物語を省略して、画面ですべてを説明してしまうという手法を何度も繰り返すと、ストーリーに粗さが目立ってしまう。
本家と成り上がりの苦悩はそれなりには描かれているが、映像にこだわりすぎて、全体の流れがあまりよくない。二人を反目や友情だけの関係でなく、時とともに互いへの思いが変化する設定したのはよいが、もうひとつ突っ込み不足の感を否めない。胸ぐらをつかんでもそれだけで終わってしまうたびに、ちょっと拍子抜けしてしまう。脚本をまとめるのが大変だったと想像できるが、少し残念。
それでも歌舞伎の舞台の映像は素晴らしく、それだけでも観る価値がある作品だと思う。

