韓国映画「PHANTOM/ユリョンと呼ばれたスパイ」(2023)の感想。

舞台は1933年の日本統治下の京城。抗日組織「黒色団」のスパイであるユリョンの暗躍を描く。ソル・ギョング主演。

とにかく映像美に凝った映画。レトロな当時の雰囲気が強調されたセット。セピア色に鮮やかな色彩を加えたような映像が続く。90年前のソウルがきれいに再現されている。

総督暗殺の容疑者たちがホテルに集められる。監視の中での客人待遇という異質な設定だ。ユリョンは誰か、暗殺作戦の成否、そしてホテルでの生き残りが交差し、日本人監察官との攻防が見どころになる。

それぞれの場面は迫真のアクションと駆け引きが繰り広げられ、見応えのあるシーンが続く。ただ、スパイ映画としての全体構想が少しゆるい。暗殺作戦もいまいちだし、ユリョンの正体の謎解きもパンチ不足の感じがする。

ほとんどのセリフは韓国人俳優による日本語。やはりどうしても不自然さ感じてしまう。敢えて日本語にしないで、韓国語のセリフでもよかったのではないかな。

映像美のスパイ映画。レトロな京城の雰囲気を楽しめる。