竹中平蔵著「平成の教訓」書評感想

小泉政権で経済政策を担った著者が、平成経済を振り返る本。とくに改革の内幕については詳しく述べられている。

平成を失われた30年と見るのは誤りで、まだらな30年と総括している。小泉竹中路線による新自由主義で格差が拡大したという批判にもしっかりと反論している。

自身を改革者とし、推進した経済政策での抵抗勢力とのすさまじい軋轢、経済諮問会議の内幕、財務省とのかけひきなどが詳しく語られている。

日銀については何も分かっていないといった調子で手厳しい。住専への公的資金注入など、愚策と言われる平成の経済政策についても厳しく批判している。小泉政権後の政策失敗で、更に日本経済が停滞したとの解説。

アベノミクスについては、評価はしているものの、厳しい指摘もある。黒田総裁の異次元の金融緩和は最初の2年半は成功としている。増税については批判的だ。

平成を振り返る本は続々と出版されているが、本書は経済政策に携わった当事者が語ったものであり、一見の価値はあると思う。