山村明義著「財務省人事が日本を決める」書評感想

財務省の取材経験豊富な著者が、財務省人事と消費増税について、人事が財務省を決めるとう観点から書かれた本。
とくに今秋に予定されている消費増税について、財務官僚の消費増税にかける様々な動きが詳しく述べられている。

財務省の事務次官への出世競争は、様相が変わってきているという。昔は秀才であるとともに「ワル」という言葉であらわされる豪放磊落さが求められていたが、今では政治家との調整能力が必要となってきている。

後半は、勝栄二郎事務次官以後の出来事を時系列で解説。消費税の引き上げにどれほど財務省が執心してきたかがわかる。
歴代の次官が増税のために政治とどう関わってきたか、与党税調との駆け引きなどがわかって興味深い。やりすぎた勝栄二郎事務次官、民主党政権との関係など面白いエピソードがある。

一昔前の大蔵省についての本は、内部のヒエラルキーでどのように次官が選ばれるかに焦点があたっていた。最近の財務省の地盤沈下と官邸への権力集中を背景に、ポイントをあげなければ出世できない実力主義が財務省にも幅をきかせるようになってきているようだ。