大隅洋著「日本人のためのイスラエル入門」書評感想

現役外交官によるイスラエルの現状についての解説本。

外交的な情報戦という側面ではなく、正面から見て現在のイスラエルはどういう国なのかという視点から書かれている。

一昔前までは、イスラエルと言うと、アラブとの関係においての見方が中心だったが、今では状況が変わってしまった。シリアやイランなど問題を抱える国の隣国であるのは事実だし、その背後にいる大国の影響を受ける立場であることは間違いない。ただ、一枚岩でなくなったアラブ諸国の敵国イスラエルといった見方では説明できなくなった。

そういうイスラエルを語るうえでは、先ずイノベーション大国としてのポジションをみる必要がある。先端技術をはじめとする技術立国として、世界のビジネスパートナーとしての存在価値が高まっている。確かにイスラエル発の技術がニュースで紹介されるのは珍しくないし、既に一人当たりのGDPは日本を上回ったという。

イノベーションを生み続ける背景には、歴史的に根づいているユダヤの常識打破の精神、家族主義と階層のない社会、軍と市民生活の融合など、特有の文化があることを指摘している。

イノベーション大国としての分析は非常に興味深い。表のイスラエル知るうえで面白い本だと思う。