数々の問題をかかえる韓国の現況をまとめた本。
出生率低下、高齢化、地方消滅、移民、一極集中と、日本ともかぶるような問題に苦しむ韓国。分析すればどれもがそれなりの原因が見えてくる。しかし背景には、すでに先進国並みの生活水準を達成したという経済成長の軌跡がある。そして今でもそういった国を引っ張るエネルギーにより韓国は動いていることも忘れてはならない。
そのような過程をたどれば必然的に競争社会は激化して、勝者と敗者がつくられる土壌ができていく。誰もが生き残るために必死だ。有利なポジションにつくために学歴競争は過熱し、負担の大きいため子供を持とうとしなくなる。とても高齢者にまわすお金はない。少しでもよい生活ができるソウルへ殺到する。皆が苦しい。
成長には影がつきものだが、それがハッキリとでてしまっている韓国。こういった負の部分は徐々に是正されていくもだが、日本よりも成長が早かったため、手が回らない苦しい状況に直面している。それでも厳しい競争社会を維持しなければ、国際競争力を維持できない。避けがたいジレンマだ。