高村薫著「黄金を抱いて翔べ」の感想。

銀行強盗で金塊を手に入れようとする男たちの物語。

大阪のメガバンクの地下に眠る6トンの金塊を強奪するべく、6人の男たちが集まる。鉄壁のハイテク機器に防御される地下に侵入するために、綿密な計画が立てられる。しかしメンバーをつけ狙う謎の男たちが現れ、死力を尽くした戦いが繰り広げられる。

銀行強盗の話だが、ラストの強盗の場面がクライマックスではあるが、その前の着々と計画の準備をするあたりがメインで、かなりの読み応え。メンバーの過去を徐々に解きほぐし、それぞれが抱える暗い過去が絡み合わせながら深い物語になっていく。著者の特徴である描写の細かさが遺憾なく発揮され、字面を読んでいるだけでも、薄汚れた情景や汗臭さが感じられる。

展開もうまい。メンバーと関係がある北朝鮮、暴走族、左翼系団体、公安が見え隠れしているが、深くは入っていかない。あくまでサスペンス感を醸し出すための引き立て役だ。

「リヴィエラを撃て」よりも読みやすく、著者の初期の代表作といえる秀作だと思う。