古畑任三郎第5話「汚れた王将」の感想。犯人坂東八十助の「偶像のレクイエム」。(ネタバレ)

将棋のタイトル戦を舞台にしたエピソード。犯人役は坂東八十助。

将棋の米沢八段は、竜人戦で苦しい状況に追い込まれる。そこで封じ手の不正を行い、それに気づかれた立会人を殺害してしまう。翌日開封された封じ手用紙には、不自然なマークが記されており、古畑は不思議に思い捜査を進める。そして対局は、不可解な手を指して米沢八段は投了する。

将棋のタイトル戦が舞台なのは、刑事コロンボ「断たれた音」を思い出させる。どちらも勝ち目が薄いと感じた犯人が、対局相手を殺害する。

カーボン紙のトリックは、「魔術師の幻想」のタイプライターのリボンのトリックと似ている。犯人が意図せず重要な証拠を残すことになる。

最後の決めての謎解きは「偶像のレクイエム」。犯人の不可解な行動の裏に、決定的な証拠が隠れているというパターン。噴水が将棋の駒に置きかわっている。

鍵となる封じ手の扱いが実情にそぐわないという点はあるが、カーボン紙と駒のふたつのトリックを交えたプロットで、見せるストーリーになっている。よくできたエピソード。