ダシール・ハメットによるハードボイルドの名作。探偵コンチネンタル・オプが登場する。
時代は1920年代。コンティネンタル探偵社の支局員のコンチネンタル・オプが、依頼を受けて鉱山町に赴く。そこは顔役たちによって牛耳られて、悪がはびこる街になっていた。到着後まもなく依頼人の有力会社の御曹司も殺されてしまうという波乱の展開。単身で暴力と暴力の抗争の沈静化を図る。
街の顔役たちの数が多く、彼らが次々に殺されていく。映像化すれば血の嵐がふきあれる抗争になるところだが、文体はカラッとしていて、暴力的な印象はそれほど感じられない。
彼らの関係は複雑だ。まず、誰と誰が一応手を組んでいるかをはっきりさせないと、物語の筋が追えない。そこに主人公の探偵が入り込む。彼の狙いは、顔役たちに同士討ちをさせて自滅に追い込むことだ。もちろんそこには治安維持の責任者である悪徳警察署長も含まれる。彼が、何の目的で誰に会って、何をしようとするのか。それを考えながら読むのは、まさにミステリーの謎解きだ。
それにしても、この探偵はいとも簡単に有力者たちと関係をつくっていく。門前払いなどされたことがない。初対面から深いところの話をつけてくる。名探偵は超一流のセールスマンであるべしかな。



