映画「007/私を愛したスパイ」(1977)の感想。よく出来たアクション活劇。

007シリーズ第10弾。ボンド役は、ロジャー・ムーア。

イギリスとソ連の原子力潜水艦が相次いで消息を絶った。ボンドは、KGBの女スパイと協力して事件解明に乗り出すことになる。やがて、海運王と言われる男が背後にいて、世界制覇を目論んでいることを突き止める。

利害が一致し、イギリスとソ連が手を組んで悪の組織を相手にするという、冷戦下では異色のストーリー。終盤はお約束の秘密基地に乗り込んでのアクション活劇となるが、水陸両用車など、ギョッとするようなスパイアイテムなど見どころがあって飽きさせない。

全体的にロジャー・ムーアのよさが、スマートさとコミカルさの両面で出ているし、女スパイ役のバーバラ・バックとのからみもテンポがあってよいと思う。スイスからエジプト、サルジニア島へ続く、観光映像もきれいだ。何よりストーリーが荒唐無稽に成りすぎず、うまくまとまっていて最後まで締まった流れになっている。

「ロシアより愛をこめて」、「ゴールドフィンガー」の次くらいに面白いと思う。007シリーズの中でも、かなり出来のよい作品。