映画「007/カジノ・ロワイヤル」 (1967)の感想。ドタバタパロディの迷作。

007シリーズの番外編と言われる作品。イアン・フレミングの「カジノ・ロワイヤル」をパロディ化している。

デイビッド・ニーブン演じる引退した007のもとに、国際陰謀集団の手で各国の諜報員が次々に消されているという情報がもたらされる。復帰を要請されたボンドは、図らずも情報部のトップに就任し、捜査に乗り出すことになる。ボンドとマタ・ハリとの娘も、陰謀集団の計画を阻止するための工作にかかわることになり、敵を壊滅させるべくドタバタ劇が展開する。

先ず驚くのは、豪華な出演者たち。ピーター・セラーズ、デイビッド・ニーブン、ウディ・アレン、オーソン・ウェルズ、ジャン・ポール・ベルモンド、デボラ・カー、ウィリアム・ホールデン、ジャクリーン・ビセットなど。本流の007シリーズでも、これだけのキャストを集めることは難しいだろう。

それにお金がかかったセットとアクション。何度も出てくる爆破シーンは、そこまでやる必要があるのかと思うくらいに大げさ。

そうかといって、洗練されたパロディ作品かというと、かなりのハチャメチャのドタバタが続く。原作がしっかりとしているので、ストーリーの流れのよさはあるが、よくここまでやるねというのが正直な感想。

これだけのエネルギーとお金をかけるなら、このシリーズ他の作品のようにふつうにアクションスパイもの作れば、どれほどのものができたのかと思うと残念。

ただ、これはこれで冷戦下のスパイ戦を風刺したパロディとして、興味深く見ることはできる。当時の映画界の勢いを感じる映画だと思う。