古畑任三郎第9話「殺人公開放送」の感想。犯人役石黒賢。(ネタバレ)

石黒賢が超能力者の犯人を演じる。

犯人の超能力者は、トリックのネタを仕込んでいるところをチンピラに見られ、もみ合ううちに誤って殺してしまう。テレビ番組で、大学教授にトリックを暴かれた犯人は、苦し紛れに殺害した男を使って超能力の偽装を行う。会場で番組を見ていた古畑は、犯人の能力に疑問を感じる。

解決編のトリックは、刑事コロンボの「二枚のドガの絵」のもの。このトリックはコロンボシリーズ屈指のもので、その影響からか「二枚のドガ」は、人気ランキングでいつもトップクラスに選ばれている。

秀逸なトリックを使うために、このエピソードには、かなり腐心したあとが見られる。そのままトリックを借りてきただけでは、ただの二番煎じになってしまうからだ。

構成として、もうひとつサングラスのトリックを用意して、ほぼその解明で最後まで引っぱっている。そして、古畑と犯人の絡みも解決編まで遅らせる。これで、最後の急転直下の種明かしで、解決に一気に持っていっている。

こういった工夫でトリックだけに頼るストーリーになることを防いで、緊張感が持続するエピソードになっている。

凝ったトリックをうまく使って、中身のつまったよいエピソードになっていると思う。