G・K・チェスタトン著「ブラウン神父の童心」の感想。

ブラウン神父シリーズ第1作。ミステリーの基本である、事件発生、探偵登場、捜査、最後の一気の種明かしという一連の流れに慣れてしまっているので、読み始めには多少の違和感を感じてしまった。100年以上も前の作品なので、仕方がないだろう。だが、プリミティブなトリックにはなかなか惹かれるし、読み進めるにつれて粒ぞろいの作品集だと思えるようになった。

かなり読みにくい。細かい描写はやりすぎとも思えるが、英米の小説にはよくあるし、これもまたミステリーを読む楽しみのひとつだと思えば、苦にならないだろう。

一番良かったのは「折れた剣」。歴史ミステリーと言える作品。それからちょっと毛色の変わった「青い十字架」、「秘密の庭」もよい。「探偵がそんなところにいてどうするの?」「あんたを犯人にしちゃてこらこれからどうするの?」と突っ込みたくなる不思議な作品。