李虎男著「中国は覇権を握るのか」の感想。

著者は中国人の研究者。主に日本で活動をしていて、朝鮮半島が専門のようだ。本書は今の中国を解説したかなりの力作だ。

世界に冠たる大中華帝国は、歴史上常に君臨し続けてきた。ここ150年ほどを除いては。その中国が、かつての地位を取り戻すべく、様々な分野で攻勢をかけている。その詳細を語るのが本書の趣旨だ。

軍事、経済、技術の分野ではもちろんで、日々のニュース欄を賑わせている通りだ。本書で注目したいのは第4、5章の文化大国への野望と民衆レベルでの文化発信。本来文化とは自然発生的なもので、統制のもとでつくられるものではない。いくら一帯一路を文化の架け橋としようとしても、そう簡単にいくものではない。孔子学院を世界中につくっても、どれほどの効果があるものか。自由な環境で育った八零後世代と言われる若い世代にしても体制とは大きな対立は見られない。草の根文化とはもっと破壊力があるものではと思ってしまう。

だが、侮れないのは文化発信の効果はもともと即効性のあるものではないということだ。アフリカや太平洋諸島で中国語を学ぶ様子を見ることがある。経済協力とともに、教育の分野にも進出していて、長期的には目的を達成してしまうのかもしれない。そのときになって中国の底力を感じることになるかもしれない。

中国関係のニュースはどうしても断片的になりやすい。国家戦略としての何を行っているのかを知るには絶好の解説書だと思う。