神津恭介が活躍する本格推理もの。
神津恭介は、避暑のために軽井沢を訪れる車中で奇妙な女性と出会う。女性は不思議なことばを残し立ち去ると、ホームで男を平手打ちにして姿を消す。軽井沢に着いてみると殺人事件が発生し、恭介は警察に協力することになる。実は、訪問先の実業家の娘が結婚相手選びの最中であり、その関係者が次々に殺されるていく。
送られてきた切符の差出人が不明であったり、謎の女が唐突に登場したり、顔が焼かれた死体が見つかったりと、序盤から伏線と思わせる奇怪な出来事が次々に起こり、つかみとしては上々の出だしを見せる。
続いてに実業家の娘の婿選びに焦点が移り、一癖ありそうな候補者たちが登場し、彼らもまた被害者になっていく。庶子の娘が現れたり、事件に関係のありそうな外国人牧師にまつわる事件が過去にあったりと、複雑さを増すような展開になってくる。そして怪しげな占星術の本と謎の詩が事件を暗示する鍵となっていく。
本格推理ものとしては、よくできていると思う。序盤の重厚さに比べると、謎解きはあっさりとしている感じはするが、複雑な人間関係は謎解きものにふさわしい。暗号の解読も加わって、最後まで楽しめる作品になっていると思う。

