映画「悪魔のような女」(1955)の感想。

1955製作のフランスのモノクロ映画。

主人公のクリスティーナは、小学校の教師。夫はやり手の校長だが、その粗暴な振る舞いに嫌気がさしていた。そこで夫と愛人関係にある教師のニコールと結託して、夫を殺害してプールに遺棄してしまう。しかし、プールの水を抜いてみると、あるはずの遺体がなぜか消えてしまっていた。

夫殺しのサスペンスものだが、プロットや謎解きはそれほど凝ったものではない。真相は、途中でだいたい見当がついてしまう。

雰囲気は、ヒッチコックのサスペンスものに似ている。だが、心理的なサスペンス感でジワジワと盛り上げるわけではなく、演劇に重点が置かれたようなつくりだ。とくに犯人の女性2人と被害者の夫のやりとりは、重厚な雰囲気の演劇を見ているような感じを受ける。この3人の人物造形と心理描写が見どころになる。

70年近く前につくられた作品だが、いい映画だなと思わせてくれる。