映画「危険な女たち」(1985)の感想。アガサ・クリスティ原作、野村芳太郎監督。

アガサ・クリスティの「ホロー荘の殺人」が原作で野村芳太郎監督となれば、期待して見ないわけにはいかない。今までこんな作品があったことを知らなかったのが不思議なくらいだ。出演陣も豪快だ。

全体的に舞台劇のような雰囲気で物語が進む。冒頭からセリフによる状況説明でテンポが悪い。大げさな演技ととってつけたようなセリフが続く。ミステリーと人間模様の2本立てのような構成だが、うまくかみ合っていない感じ。探偵役は石坂浩二だが、切れ味鋭い推理力を発揮する場面はなく、なんとなく真相にたどり着いてしまった感が強い。

南紀白浜が舞台でお金持ち一家の話しになってるが、イギリス上流階級の話しをそのまま持ってくるのはちょっと無理があると思う。浮き世離れした雰囲気で作品全体が覆われてしまった。

期待が大きかっただけにちょっと残念。クリスティを日本に持ってくると、こういうテイストの作品になってしまうね。