谷川浩司著「名人論」の感想。

谷川浩司一七世名人による名人論。

将棋界と言えば名人だし、棋士は誰でも名人を目指すもの。最近は名人だけは特別だという考えは薄くなったようだが、それでも棋界の代表という地位は揺るがない。

トップに立つ人たちというのは、自分の世代を背負っているという感覚を持つらしい。同世代の中で勝ち抜いて名人となったのだから当然だろう。更に、世代間の戦いにも挑まなければならなくなる。上の世代には挑戦しなければならないし、下の世代からの挑戦を受けなければならない。

そういう立場で見た他の名人たちの個性は様々だ。大山名人や羽生名人についての見方は直接戦ってきただけあってなかなか興味深い。ただ、中原名人に対しては、あまり詳しい記述がない。修業時代からの目標であり、倒さなければならない相手であったろうし、実際に名人戦で激しく戦ってきた相手でもある。あまりにも身近に感じるライバルについての論評を控えるのは、勝負ごとでは珍しくない。

名人の歴史と重み、そして歴代の名人たちを知ることができる一冊だと思う。