落合陽一著「忘れる読書」の感想。

若手のオピニオンリーダーとして活躍中の著者が書いた読書論。半分は読書の方法論で残り半分は影響を受けた本の書評。

一言で言うと、とにかく読んで読んで読みまくるといったスタイル。もちろん思考体力をつけるためであったり、気づく力をつけるためであったり、歴史の判断を学び今との差分を認識するためであったりするわけだが、基本は量を読まなければ始まらない。

よく言われるように、まったくの新しいアイディアをつくるのではなく、既存のものを新しい組み合わせをつくるというのは、まったくその通りだと思う。そして、すべてを吸収しようとはしていないこと。自分のスタイルを頭に入れたうえで読まなければ、本に影響されすぎてしまう。

それから、注目すべきは、取り上げられている本に古典が多いこと。時代の最先端を論じる著者であっても、基本となる枠組みに時代をこえた知恵を取り入れている。

著者は、読書が単なる情報収集の手段、本は蓄積された情報リストといったとらえ方をしていないように思える。もっと大きな知性の流れのように見ているのではないか。そうでなければ、未来がどうなるかを論じることはできないのだろう。