著者は、「国会王子」の愛称で知られる元TBS記者。香港留学、北京特派員も経験した中国通でもある。どのような歴史をたどって今の中国があるかについて、平易に説明してある。とくに中国の心情について、歴史的な観点を踏まえた考察が興味深い。
今ではアメリカと並ぶ大国であるにもかかわらず、世界からは暴れん坊的な大国と見られている中国。著者はこの行動のもとには、ルサンチマンと恐怖があるという。こういった心情はわからないわけではない。かってはヨーロッパに劣らず栄華を誇った中華帝国であるが、アヘン戦争以来欧米諸国の侵略、日本からの攻撃で大きな打撃を受けた。その後の共産党政権の樹立以後も、国内では内乱のような騒ぎが続いて、鄧小平の時代になってようやく世界に顔を出すまでには長い時間がかかった。この不遇の150年間を中国人は忘れないだろう。その代表が今のリーダー習近平ということになる。
中国を新興の大国とするのは正しい見方ではないかもしれない。昼寝をしていた超大国がようやく世界の舞台に戻って来たと見るべきだろうか。中国産の品物は安くてすぐ壊れるといった考えをもとにすると、本当の中国はわからないということになる。