映画「スターリンの葬送狂騒曲」(2017)の感想。モンティパイソンのようなコメディ。

スターリン死後のクレムリン内の抗争をドタバタ風に描いたコメディ。2017年イギリス制作。

絶対権力者スターリンが突然死去した。葬儀の準備とともに共産党幹部たちの権力争いが始まる。登場するのは、ベリヤ、フルシチョフマレンコフ、モロトフ、ジューコフ、ブルガーニン、そして若き日のブレジネフなど。そのうち主要人物は、ベリヤとフルシチョフの二人。

独裁者の下で、粛清の影におびえ恐々としていた幹部たちは、スターリンの死後もその属性が抜けずに保身のために右往左往する。そこで野心をあらわすベリヤとフルシチョフ。同志の取り込みを図り、権力を握ろうとする。

ドタバタ劇はモンティパイソンを思わせるようなシニカルな風刺。下品な描写も数えきれないくらい。政治風刺の面白さ満載。

だが、大国の最高機関内での抗争が殺し合いにも等しく、その裏では粛清された数多くの人々がいると思うと、笑うに笑えないのが本音のところだ。フルシチョフをはじめ、残った幹部たちの多くはその後に失脚の憂き目にあうことを考えると、あまりにもブラックすぎる。平和な国からみるとクレムリンの抗争は狂気の沙汰に見えても、権力争いの本質を描いている作品だと思う。

笑いとともに薄ら寒い感じをうけてしまう風刺コメディ映画。