映画「ワルキューレ」(2008)の感想。ヒトラー暗殺計画。トム・クルーズ主演。

1944年のヒトラー暗殺計画を題材にした映画。トム・クルーズ主演。

この計画はヒトラー暗殺事件の中でもとくに有名で、何度もテレビでとりあげられている。ミッション・インポッシブルのような壮大な計画なのだが、実際の出来事なのだから恐れ入る。単独の行動ではなく、参謀総長あたりまでの軍幹部が多数加担している点で、上手くいっていたら歴史が変わっていたくらいのインパクトがある出来事だ。

実際のクーデターの成功には、これくらいの大規模な計画が必要なわけで、時折ではあるが世界のどこかで政権転覆が起きていること自体が、驚くべきことなのかもしれない。組織の要所には、必ず日和見主義的などっちつかずの人物たちがいて、彼らををどう取り込むかが作戦の成否がかかっている。どれほど綿密に計画をたてたところで、運の要素も見過ごすわけにはいかないので、薄氷を踏むような綱渡りをすることになる。その部分がよく描かれており、臨場感は抜群だ。

シュタウフェンベルク大佐役のトム・クルーズは、軍人姿が似合っている。ドイツ軍内部の描写も秀逸だ。何よりフィクションではない本物感が全編にわたって感じられ、歴史物としても秀作だと思う。