不倫を題材にしたサスペンス作品。桂木洋子主演。原作は吉村昭。
教授夫人と学生が密会中に強盗事件を目撃し、それが二人の関係に影を落としていくというストーリー。松本清張作品によくあるように、不倫という火遊に偶然の不運が重なって破滅を招くというパターンだ。展開は素直でとくに悪人が出てくるわけでなく、強盗事件も舞台装置としての役割のみだ。二人の心情を刻々と描いていくという流れだ。
真面目すぎる学生は、倫理観に目覚めてしまう。夫人はとにかく体面を保ちたい。挙げ句の果てに、悲惨な末路。ちょっと単純すぎるが、今のサスペンスものの源流を見るような感じがする。新人だった伊藤孝雄が一途の学生を好演しているし、教授夫人の桂木洋子もよろめきの気持ちをうまく表現している。背景も昭和30年代の今の日本の原風景で、シンプルにサスペンスを楽しめる映画だ。

