2021年製作のチェコのミステリードラマ。アマプラで視聴。舞台は1920年代のプラハ。第一次大戦後、貴族社会から共和制へと移り変わっていく激動のチェコ社会が舞台になっている。
まず驚かされるのが、1920年代のプラハの街並みの再現度の高さ。石畳の路地やカフェ、路面電車など、当時の空気感がスクリーンいっぱいに広がっていて、それだけで見応えがある。
主人公ブディクは貴族階級出身の警部。旧体制が崩れゆく時代に、かつての貴族という出自を抱えながら共和国の警察官として働くという設定。社会の転換点そのものを、主人公一人の立場に凝縮して描いているところに脚本の巧さを感じる。
事件の舞台も幅広い。貴族の邸宅から農村、そして売春街まで、階級を横断する描写が丁寧で、当時のチェコ社会の縮図を見せられているような感覚になる。
出演者の衣装もクラシック調で見事。映像自体もアンティーク調に仕上げられていて、小道具の一つ一つにも時代の質感が宿っている。画づくりだけでも十分に鑑賞に値する。
ただの事件解決型のミステリーで終わらないのも魅力。毎回の捜査の合間に、警部の家族とのやりとりが挟み込まれ、ドラマ全体に重厚感を与えている。部下たちも個性豊かで、女好きの刑事や血気盛んな若手刑事など、脇を固める人物造形もしっかりしている。
回を追うごとに面白さが増していく。とくに第6話以降は完成度がぐっと上がり、1時間という枠の中で、捜査の進展に合わせて段階的に真相が明かされていく構成が心地よい。毎回のトリックはやや複雑なのだが、人物関係を簡潔な描写でうまく整理しているので、間延びすることなくテンポよく謎解きが進んでいく。
全体として、映像美と社会背景の描き込み、そして人間ドラマのバランスが取れた、かなり完成度の高いミステリードラマだと思う。おすすめの作品。

