映画「暗黒街のふたり」の感想。ジャン・ギャバン、アラン・ドロン共演。

ジャン・ギャバン、アラン・ドロン主演。タイトルからは、裏社会のギャングの抗争の映画かなと思ってしまうが、ちょっと風味が違う。

アラン・ドロン演じる元銀行強盗は、刑期を終え新しい生活を始める。仲間からの悪い誘いを断り、ジャン・ギャバン演じる保護司の助けをかりて更生の道を歩み始める。だが、彼を逮捕した刑事が再犯を疑い、執拗にまとわりつく。嫌がらせに我慢の限界に達し、ついにその刑事を絞め殺してしまう。

つらい運命に翻弄される前科者を演じるアラン・ドロンの演技が見どころ。いつもの二枚目で肩で風切るような格好のよさではない。前科者への偏見と不寛容さに苦しむ内面の演技だ。死刑の判決を受け、それを待つ死刑囚としての顔。希望を失いあきらめの脱力感でもない微妙な表情。そしてギロチンによる最期。

権力の怖さと死刑制度への強烈な批判を含んだ社会派の作品。