映画「病院坂の首縊りの家」(1979)の感想。謎解きミステリーとして楽しめる作品。

市川崑監督の金田一シリーズの第5作目で最終作になる。

金田一耕助は、パスポートの写真を撮るために訪れた写真館の主人に、殺されそうになったので調査をして欲しいと依頼される。その日、不思議な女性が写真館を訪れ結婚写真撮影の依頼をする。後日、写真を届けるためにその場所に赴いた若主人が男の生首を発見する。

複雑な人間関係をもとにしているのは横溝作品の共通な特徴。この作品でも劇中で家系図を示して、人間関係を解説するシーンがはいる。相関図を頭に入れてみないと混乱するくらいの複雑さが、この作品の特徴。

冒頭の横溝正史夫妻の出演シーンは、マンネリ化回避のための趣向かなと思い、あまり期待しなかったが、なかなかよくできていると思う。とくに怪奇色よりも謎解きに重点が置かれていて、純粋ミステリーとして楽しめるのがよいと思う。

佐久間良子の存在感はさすが。昭和のモノクローム的な映像に自然にとけこんでいる。桜田淳子の狂気じみた娘を熱演している。

最終作でこのくらいのクオリティの作品があるなら、もっとシリーズを続けて欲しかった。謎解きミステリーとしてよい作品。