古畑任三郎第26話「古畑任三郎 vs SMAP」の感想。(ネタバレ)

アイドルグループSMAPが自分たちを演じ、犯人役となるスペシャルエピソード。

SMAPのメンバー草彅剛は、叔父の弱みを握られた男から強請られていた。SMAPの他のメンバーは、草彅を助けるべく男の殺害計画を立てる。巧妙に5人のアリバイをつくり計画を実行するが、古畑の捜査が始まるとほころびが出てくる。

倒叙式のミステリーは、通常は探偵に追いつめられていく犯人の苦境を、行動や心理的な面から描いていくところが見どころとなる。このエピソードでは、犯人が5人という異例な設定。そのため、古畑の追求で焦りをみせる5人の物語が進行していくことになる。各メンバーが犯人の1/5という役割でなく、SMAP内でのそれぞれが個性で色づけされるストーリーで、まさにSMAPのためのドラマを観ている感じを受けるくらい念入りに描かれる。

ここまでSMAPを表に出すと、PRドラマになってしまうのではと心配になるが、そうでもない。いつも古畑の謎解きストーリーにSMAPのストーリーをうまく融合させた構成で、違和感はない。古畑任三郎のドラマであり、SMAPのドラマでもあるという絶妙なバランス。

ミステリーとしては、弁当の重量計算トリックはやや強引で笑ってしまう。解決編は、刑事コロンボ「ロンドンの傘」のトリックにもう一ひねりを加えている。

古畑任三郎とSMAPを両立という難しい設定をうまくこなしていて、完成度の高いエピソード。三谷幸喜の脚本力が発揮された良作だと思う。