古畑任三郎第42話「ラスト・ダンス」の感想。(ネタバレ)シリーズ最終回。

松嶋菜々子が一人二役を演じる双子の流行作家は、妹がマネージメント、姉が作品の執筆を担当していた。姉は自分の書きたい作品の制作のために、コンビ解消を望んでいた。そこで妹は双子であることを巧みに利用して、拳銃自殺を装って姉を殺害してしまう。古畑は捜査を始めるが、妹への聴取で矛盾点を見つける。

倒叙式でありながら、隠れたストーリーが進行していて、それで視聴者をだますという構成。刑事コロンボの「偶像のレクイエム」にも似た二重のプロット。最終回にふさわしい力の入った脚本になっている。ドラマ的には成功していて、最後までなかなか面白い。

ただ、ミステリーとしてはゆるい。一番の問題は、双子がそのまま入れ替わってしまっていること。これでは、トリックを見破られたら、証拠はいくらでも出てきてしまい、そこで終了というオチになってしまう。期待のクライマックスの謎解きはあってないようなもの。

刑事コロンボねたでは、「二つの顔」の双子設定、「構想の死角」の二人組の作家、「野望の果て」の二人の入れ替わりと爆竹のアリバイ、「ビデオテープの証言」の銃声など、いろいろと入っている。

最終回らしい力作で、最後まで楽しめるエピソード。ミステリーとしてもう少し詰めれば傑作になっていたかもしれない。