高木彬光著「ハスキル人」の感想。異質なSF的なストーリー。

高木彬光には珍しいSF的なストーリー。ハスキル人というのは主人公となる宇宙人の名前。

地球よりもはるかに文明が進化した宇宙からやってきたハスキル人。人間に憑依して、驚くべき能力を発揮する。それに目を付けた新聞社や実業家たち。挙げ句の果てには、東西冷戦の対立まで巻き込まれる。

タイトルが突拍子もなく、先ずそこに目を奪われる。冒頭からの宇宙人の登場する不思議な話は、なかなか惹きつけるものがある。何か謎解きがあるのかと、いろいろと思案を巡らせながら読み進めるのは楽しい。

人間くさい話に巻き込まれていくと、どのように話をまとめるのかと、興味津々となり、そこから更に話が広がっていく。米ソの東西冷戦の攻防のところまで行くと、ちょっとやり過ぎの感じもするが、昭和30年代初めの国際関係まで反映されているのも面白いところだ。

変わりダネの高木彬光作品として、別の意味で価値ある娯楽小説。