完全ネタバレです。注意。
相棒season25の初回スペシャル。前後編の2回にわたる政治サスペンス。総理大臣補佐官の仲井戸が殺害され、捜査を進める右京たちは、現職総理が外国情報機関に長年協力していたという重大な秘密にたどり着く。
なかなかスケールの大きな話だが、脚本の構成がちぐはぐしている。まず、亀山夫妻の教え子が登場し、サルウィンの軍事政権や民主化運動の話が出てくるので、てっきりサルウィンがらみの事件かと思った。ところが、実際には事件の本筋とほとんど関係がない。光屋が逃げ込む大使館として利用されただけで、別の国でも成立する話だった。次回以降の伏線になっているのかもしれない。
一方、事件の核心を握るのが、突然登場するハドリア連邦という架空国家。日本との関係や工作の目的もほとんど説明されないまま、外国情報機関による陰謀という結論に持っていかれる。仲井戸が大学研究室の助手である光屋に、なぜこれほど重大な秘密工作を依頼したのかも説明不足。登場人物の行動に説得力が乏しい。
殺人事件の謎解きも不満が残る。ホームレスの門田が身代わり犯人であることを右京が見抜くところまでは面白い。しかし、真犯人の坪尻海翔は突然登場し、警察がどうやって特定したのかもわからないまま逮捕される。終わってから、坪尻とはいったい誰だと思ってしまった。
終盤はさらに慌ただしい。総理が秘密を告白して辞任し、関係者が次々と逮捕される。ところが、ハドリア側は知らぬ存ぜぬで、国家的なスパイ事件としては何も解決していない。そもそも、何十年もかけて育てた協力者が総理になったのに、その秘密を守るために最側近を殺害するというのも、かえって危険を高める不合理な行動に思える。
全体として、題材を詰め込みすぎた作品。前半で風呂敷を大きく広げたものの、後半では十分に整理できないまま慌ただしく畳んでしまった印象。政治サスペンスとしての着想は面白いが、人物の動機や事件の因果関係の描写が弱い。今後、展開があるのかもしれないが。

