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松本清張著「十万分の一の偶然」の感想。(ネタバレ)

1980年に週刊文春に連載された松本清張ミステリー。東名高速道路で起きた衝突事故を捕らえた写真が、新聞社主催の報道写真最高賞を受賞した。十万分の一の偶然を捕らえたようなものであったため、犠牲者の婚約者が不審を抱き、事件の真相を探る。タイトル...

大木毅著「独ソ戦~絶滅戦争の惨禍」の感想。悲惨な殲滅戦。

第二次世界大戦で最も悲惨であったと言われる独ソ戦についての概説。大国間の戦いでは、戦況が一方に傾いたところで手打ちにするのが普通だろう。それが独ソ戦では、国が滅ぶ間際まで続いてしまった。太平洋戦争でも悲惨な戦いはあった。しかし、悲惨さという...

乾くるみ著「イニシエーション・ラブ」の感想。(ネタバレ)。読者への挑戦状。

ちょっと変わったミステリー。最後から2行目に核心を突くセリフが飛び出す。合コンの席で知り合った若いふたり。次第に距離を狭めていって、カップルになる。しかし、彼の方が東京転勤となり、次第に疎遠になっていく。字面を読んでいくだけでは、ただの恋愛...
スポーツ

木村元彦著「無冠、されど至強 東京朝鮮高校サッカー部と金明植の時代」の感想

かって、影のナンバーワンと言われた東京朝鮮高校サッカー部についての物語。70年代から80年代にかけて、東京朝鮮高は、帝京をはじめとする強豪校と対等以上の戦績を残した。そしてそのメンバーたちが卒業後に所属した在日朝鮮蹴球団は、国内のトップチー...

中野信子著「ペルソナ」書評感想

著者はテレビなどでもお馴染みの脳科学者。脳科学的な立場で、お悩み相談などに明快に答えている姿が思い浮かぶが、この本はちょっとテイストが違っている。自分のこれまでの半生を振り返る自叙伝に近い内容。それがタイトルのように仮面の告白形式になってい...

綾辻行人著「十角館の殺人」書評感想

著者のデビュー作で、本格ミステリーのエポックメイキングとなった作品。十字形の館が建つ孤島に、大学のミステリ研の7人が訪れた。やがて、学生たちが次々に殺されていく。疑心暗鬼の中、メンバーによる捜査が進むが、同時に元メンバーが島外でも真相を探り...

ジョン・ル・カレ著「われらのゲーム」書評感想

ジョン・ル・カレのスパイ小説。舞台は、イギリスからモスクワ、そしてコーカサス。元イギリス情報部員の主人公のもとに警察が訪れた。かっての部下が、KGB工作員と共謀して、ロシア政府から大金をだまし取ったという。そして主人公にも共犯の容疑がかかる...
囲碁将棋

谷川浩司著「藤井聡太論 将棋の未来」書評感想。

藤井さんが将棋の天才であるのは間違いないのだろうが、なぜあれほど強いのかという疑問を持つのは普通だろう。圧倒的な成績とか、最年少記録とか、詰め将棋の強さとか、子供時代の負けん気の強さだとかが取り上げられることが多い。実際のところ、対局相手で...

岸宣仁著「財務省の「ワル」」書評感想。最強官庁の今。

変わりつつある今の財務省の内情をレポートした本。一昔前までの大蔵省紹介本というと、最強官庁としての強大な権力と鉄の掟で統率される内部組織に言及するものが多かった。絶大な予算権限、政治家をも動かす力、エリートたちの出世競争など。この本では、往...

高瀬正仁著「高木貞治」書評感想

数学者高木貞治の評伝。高木貞治といっても、「解析概論」の著者で偉い数学の先生くらいしか予備知識がないが、何となく気になって手に取ってみた。明治初めに生まれ、その後世界的な業績をあげ、晩年にいたるまでの数学者としての一生が書かれている。下手に...
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