谷川浩司著「藤井聡太論 将棋の未来」書評感想。

藤井さんが将棋の天才であるのは間違いないのだろうが、なぜあれほど強いのかという疑問を持つのは普通だろう。

圧倒的な成績とか、最年少記録とか、詰め将棋の強さとか、子供時代の負けん気の強さだとかが取り上げられることが多い。実際のところ、対局相手である他のプロ棋士たちは、藤井将棋をどのように見ているのか。谷川十七世名人が、そのあたりを語っている。

藤井さんに勝つためにどうするかについては、中盤までの研究で優位に立って逃げ切ると書いている。渡辺名人がタイトル戦で使った作戦で、藤井さんの研究が手薄なところを狙うという戦略。これは読みの速さと深さではかなわないので、対等に戦っていては勝ち目がないと言っているようなものではないか。

そして、読みを省略するかどうかの感覚的な判断も、非常に秀でているという。これは、羽生さんも同じだそうだ。

読みと感覚が優れていたらまさに鬼に金棒。藤井時代は長く続きそうだ。