ドイツの社会派サスペンス映画。新米弁護士が実業家殺人事件の国選弁護人となり、加害者と被害者の暗い過去に向き合う。
法廷サスペンスとしては、かなりよくできていると思う。がむしゃらに職務をまっとうしようと若手弁護士。図らずも親代わりの実業家を殺した加害者の弁護をすることになったときの葛藤。追いつめられながらも、事件の背景にある真実を探ろうとする真摯な姿勢。テンポがあっていい。
エンタメとして観ても面白いが、作品が持つテーマはかなり重い。ドイツ社会がナチの暗黒時代から立ち直るために通らなければならなかった道が背景にある。社会全体としても贖罪の意識は当然あっただろうが、ナチ協力者たちも戦後復興の一翼を担う立場にあったということは想像に難くない。
弁護士がトルコ系ドイツ人であることも見逃せない。彼は被害者の援助によって身を立てることができたという設定。戦後ドイツ社会は間違いなく外国人に対する寛大な態度はあったということだ。それでもこの事件のように、過去は過去のものとして葬り去るようなことも行われただろう。
最後は観る側に結論をゆだねるかたちになっている。ドイツは戦争犯罪に対しては真剣に向き合ってきたと思っていた。それでも今でも戦争の傷跡は社会の深いところには残っていることを感じさせる作品だ。

