「くまのプーさん」で有名な著者の唯一の推理小説。約100年前の古い作品だが、割と有名で評価の高いミステリー。
イギリスの田舎町に赤い館と呼ばれる邸宅があった。ある日、その館の主人の兄が、しばらくぶりにオーストラリアからやって来た。到着後まもなくのわずかの時間のあいだに、兄は殺され主人は姿を消してしまう。客人としてその館を訪れていた素人探偵が、独自に調査を進め真相に迫っていく。
トリックは、今の基準からすると当たり前で、それほど凝っているわけではない。ただ、発表されたのが大正時代ということを考えると、当時は注目を集めたのだろう。ストーリーも、読者に公平な手がかりを示して、考える楽しみを与えてくれるような構成になっている。
のどかな古き良き時代の謎解きもの。シリアスな恐怖感やハラハラどきどきするような描写を求めるのではなく、のんびりと楽しむのには最適のミステリー。