高木彬光著「神津恭介への挑戦」の感想。平成に書かれた神津恭介が活躍。

高木彬光の神津恭介シリーズ平成三部作の第1作。

満員電車内で毒殺事件が発生した。偶々、乗り合わせた新聞記者が被害者の身元を探っていくと、関係する男が失踪していることがわかる。彼らはあまり表沙汰にできない事件を起こしていて、その報復ではないかと考えられた。密室での殺人が疑われる事件に神津恭介が挑む。

著者が闘病後に執筆した晩年の作品。作家として脂ののった時期のものではないが、名探偵神津恭介は健在だ。おしどり探偵的な流れで捜査が進んでいくが、ありきたりの結末にはなっていない。神津恭介がほとんど悩むことなくあっさりと真相を見破ってしまう名探偵ぶりには、もう少しひねった方がよいのではと思うが。

こぢんまりとまとまった神津恭介作品。神津ファンなら楽しめるかも。